【R18】プライベート・レッスン
ウィリアムとアルバート兄様に自慰を教えてもらうルイス。
兄さん兄様じゃなきゃイけないルイスが可愛くてだいすき。
「ルイスが一人で気持ち良くなっているところが見たい」
「自慰ということですか?」
「あぁ」
深夜、モリアーティ邸にあるアルバートの寝室。
何でもないようにただ在るべく己の欲求を告げたアルバートに対し、ウィリアムは少しだけ思案して口を開いた。
「それは難しいですね。僕も見たことがありませんし…そもそも、ルイスは自慰をしたことすらないと思います」
「ほぅ、そうなのか?」
「初めて射精したときは僕が抜いてあげましたし、以降は定期的に僕がシているので自分で慰める必要はないでしょう」
「となると、ますます見たくなるな。ウィルもそう思わないか?」
「…そうですね。見たことのないルイスの一面には興味があります」
アルバートとの会話に興味を引かれたウィリアムは腕の中にいる人物を抱く力を込めた。
離れようとする体を抱き寄せて、ふわりと揺れる金髪に頬を寄せながら囁くように甘い声を流し込む。
「どうかな、ルイス」
「…お二人とも、そういった話は僕がいないところでしてください…!」
ベッドに座るウィリアムの腕の中、抱きしめられた状態で兄達の会話を黙って聞いていたルイスは顔を赤くして呻くように声を出した。
隣ではアルバートが興味深い視線を隠さずルイスを見つめている。
「どうして?ルイスのことなんだからルイスがいる場所で話した方が無駄がないだろう?」
「それは、そうですけど…」
「ウィリアムの言う通りだ。それでルイス、ウィリアムの言う通り一人での経験はないのかな?」
「…」
覗き込むように顔を寄せてくるアルバートの瞳から逃げようとルイスは身じろぐが、その体を抱きしめているウィリアムが許してくれなかった。
ルイスはすぐ間近で自分を見詰める兄を拒否することが出来なくて、視線を彷徨わせながら答えづらそうに口を開く。
嘘をついてもこの二人はすぐに見抜いてしまうだろうし、ルイスが彼らに偽りの言葉を吐くことは過去も未来もないだろう。
羞恥に満ちた真っ赤な顔で、アルバートと視線を合さないまま小さな声を出した。
「…ありません」
想像していた返答にウィリアムとアルバートは揃って口元の笑みを深めた。
どちらかといえば性に関して欲の薄いルイスが自慰をしたことがないのは当然だ。
初めて精通したときからずっとウィリアムの手で欲を満たしてもらってきたし、アルバートにも抱かれるようになってからはより一層自らの手で慰めるような必要はなかったのだから。
欲求不満になる前にウィリアムとアルバートがそれを解消してくれるような生活を送ってきた以上、自慰をこなす必要もなければするという発想に至ることすらなかった。
ルイスの性格を考慮しても、自ら自分の性器に触れて快感を得ることに抵抗があるのは間違いないだろう。
「どうします?兄さん」
「せっかくの夜だから、ルイスの初めてを見せてもらうのも悪くないな」
「…え?」
今まで性的な意味で自分の性器を弄ったことのないルイスは、近くで交わされる二人の会話に嫌な予感がした。
元々この二人はルイスの羞恥を煽りながら抱くことを好んでいるし、与えた快楽でとびきり美しく乱れたルイスを気に入っている。
ルイスは彷徨わせていた視線を上げて、アルバートの顔と背後にいるウィリアムの横顔を交互に見た。
「に、兄さん?兄様?」
「ルイス、僕が教えてあげるからやってみようか」
「え、は?」
「せっかくの機会だ。ウィリアムの指導の下、経験を積むというのも悪くないだろう」
「…じ、冗談ですよね…?」
にっこりと冗談めいた笑みを浮かべたアルバートはルイスの喉元を擽るように撫で、腹を抱いているウィリアムの手がそのまま下腹部を通って衣服の上から太腿を撫でる。
その手つきがどうにも厭らしくて、戸惑いつつアルバートを見ていると下着ごと衣服を脱がされた。
空気に触れる感覚に慌てて視線を下ろしてみれば、白い太腿の間に力なく垂れている性器が目に入る。
反射的に両手でシャツの裾を伸ばし、誰の目にも触れないよう足も閉じてしまう。
ルイスの手を咎めるようにウィリアムの腕が伸ばされて、閉じた膝にはアルバートの手が添えられた。
「ルイス、腰を上げて」
「ゃ…いや、いやです…」
「ルイス」
「ふ…ぅ」
俯いたルイスの顔を持ち上げて、戸惑う瞳をじっと見つめながらアルバートは弟の名前を呼んだ。
抵抗することは許さないと、言うことを聞きなさいという貴族然とした声色。
たった一言、自分の名前を呼ばれただけだというのに、ルイスの体は自然と命令された通りに動いていた。
鼓膜を通り越して心臓、そして腰に響くような甘い低音に逆らえるほど、ルイスは彼に興味がないわけでもない。
自分を魅了するアルバートへ従う以外の選択肢はなく、言われるままに腰を上げれば身に付けていた衣服を下着ごと剥ぎ取られた。
アルバートは露わになった細く真っ白い足を押し広げ、ちゃんと命令通り行動できたルイスを満足げに見る。
そうして先ほどとは違い、優しい兄としての声をキスとともに届けてあげた。
「良く出来たね、ルイス」
「ん、ふぅ…ぁ」
深く重ね合わせるだけのキスをして、アルバートはそのまま弟達の正面に片膝を立てて腰を下ろした。
ウィリアムによる指導の下、ルイス初めての自慰の様子を観察するには絶好のポジションだ。
どれほど官能的なものが見られるだろうかと湧き上がる興奮を抑え、アルバートはルイスの後ろにいる紅い瞳を持つもう一人の弟を見る。
了解したように瞳を細くしたウィリアムは、シャツの裾を掴んだままのルイスの手に己の指を絡めて解いていった。
「ルイス、手を離して」
「ん、ん…ゃ、兄さん、僕…」
「ちゃんと一人で気持ち良くなれたら、僕とアルバート兄さんでご褒美をあげる。だから、ね…?」
「んん…ぁ、ふ」
耳に直接艶めいた声を流し込まれ、ルイスは思わず逃げるように目を閉じた。
けれど視覚を無くした状態ではウィリアムの声に集中してしまうだけで、懇願に見せかけた命令が頭の中に響くだけだ。
絡められた指先を撫でるように触れられるのと相まって、どうにもこうにも気持ち良くて仕方がない。
促されるままシャツから手を離し、本来では隠すべき部分が剥き出しの状態でルイスは後ろにいるウィリアムを見た。
「にぃさん…僕…」
「まずは両手でしっかりと支えて。大丈夫、僕がついてるから」
「ぁ、ん…ふ、ぅん」
先ほどのアルバートとウィリアムの声に感じたのか、僅かに芯を持って角度のあるルイスの性器。
そこへルイスの手を導くように持っていき、排泄以外では触れることがないであろう自分の性器に触るよう優しく命令した。
細い指先で恐る恐る根元を持つが、しっかりと触れることにはまだ抵抗があるのか、竿の部分に軽く触れているだけだ。
消極的なその様子にほくそ笑みながら、ウィリアムは両腕をもう一度ルイスの腹に回して視線だけをそこに向ける。
「ルイス、自分で気持ち良くなれるように触ってごらん」
「え、…わ、分からないです、兄さん」
教えてくれると言ったのに、とばかりに眉を下げてウィリアムを見るルイスの表情は庇護欲を刺激する。
この年になって尚、自らの性欲に対して戸惑いを覚える無垢な様が可愛くて仕方ない。
ウィリアムは彼を抱く腕に力を込めて、耳の後ろに跡を残すように吸い付いた。
「じゃあ親指で竿の部分を撫でてみようか」
「ん…こう、ですか…?」
「うん、上手だね。他の指も合わせて使っていくと良いよ…そう、その調子」
「ふ、あ…ん、あぁ」
瞳を閉じて、ウィリアムの声を頼りにたどたどしく指を動かしていく。
正直あまり気持ち良いとは思えないが、吐息とともに流れ込むウィリアムの声だけで十分感じられる。
指先だけでこしこしとやんわり刺激していけば、僅かばかりに硬くなっていくのが分かった。
何となく熱さも帯びてきたように感じられて、背後にいるウィリアムに凭れるように背中を預けてルイスは一度目を開けた。
視界の先に入ったのはじっとこちらの様子を見ているアルバートの姿だ。
見ているだけなのに快楽を得ているようなその表情と瞳は確実にルイスを捉えていて、それを改めて意識した瞬間とても恥ずかしくなる。
ルイスは頭を左右に振って足を閉じてしまった。
「ルイス?」
「ん、や…兄様、そこにいないで…こちらに来てください…」
「…」
「…見られてるの、恥ずかしいです…」
足を閉じてはいるが自らの性器を弄る手はそのままに、ルイスは上目でアルバートの瞳を見る。
絶好のポジションで弟達の様子を眺めて悦に浸っていたのだが、恥ずかしいと健気に懇願するルイスがあまりにも可愛くて逆らうのも忍びない。
アルバートは肩を竦めて腰を上げ、ウィリアムの隣に座りなおした。
手を伸ばして傷のある右頬に触れて、これでいいかい?と問いかければ潤んだ瞳で手に懐かれる。
すり寄ってきた頬をもう一度撫でて続きを促せば、ルイスは閉じていた足をもう一度開いて自慰を再開した。
「ん、ふ…ぁ、あぅ」
「ルイスは先端の部分を弄られるのがすきだよね…こんな風に」
「ひ、あっ!あ、あぁんっ」
自分の体のことなのに力を込めて触るのは怖いようで、見ている方がもどかしくなるような刺激しか出来ていない。
不慣れなその様子があまりに可愛くて、ウィリアムはついからかうように手を出して一際感じるだろう部分に強い刺激を与えていく。
すぐに聞こえてきた嬌声と垂れてきた先走りがルイスの快感を如実に表していた。
「ふ、あっ…あ、あん」
「ウィル、これを」
「ありがとうございます、兄さん。ルイス、手をどけて」
「ふ、あ…?んん、ぁ」
溢れてきた液体を先端に塗り広げていると、アルバートから小さなボトルを手渡される。
見れば情事の際に使用する潤滑油が入っているボトルだった。
ウィリアムは蓋を開けて手のひらに中身を出し、冷たさで不快な思いをさせないよう少しだけ温めた後でルイスの性器に垂らしていった。
とろりとした液体が敏感な部分を伝う感触が厭らしくも気持ち良くて、ルイスは濡れていく己の性器から目が離せない。
生温かい潤滑油により薄暗い室内でも艶めかしく光っているのがよく分かる。
それに一層欲を煽られて、ルイスは隠すように両手で性器を覆った。
「摩擦がなくなる分、さっきより触りやすいはずだよ。ほら、こっちの手は気持ち良いところ、もう片手は竿の部分を扱いてごらん」
「あ、あぁ…ふっ、ぅあ、ん~」
「随分大胆になってきたな…ルイス、上手だね」
「ふ、ぁ…」
ウィリアムの指示通り指を動かせば確かに気持ちが良く、その様子を近くで見ているアルバートからも褒められる。
嬉しくも恥ずかしくて、でもその言葉の通りルイスの手は始めに比べれば大胆に動くようになっていた。
それでも自分の手では普段と同じ快感を得ることは出来ず、射精感はまだまだ得られない。
もどかしいままの快感にルイスはひたすら喘ぐばかりだった。
「兄さん、兄さんはルイスを愛撫するとき、どこに触れることが多いですか?」
「そうだな…ここを触ると良い声で鳴いてくれるな」
「あっ!あぁんっ、んっふぁ…」
「ん、良い声だね」
ルイスの自慰を邪魔しない範囲で、アルバートは彼の性器の裏筋と雁の部分を揉みこむように刺激した。
アルバートの指を感じた途端に甘やかな嬌声をあげて悶えるルイスを抱きしめ、ウィリアムは先走りを垂らしながら硬くなる性器を見守っている。
もう少しで限界だろうと考えているのはアルバートも同様で、触れた指を離さず擽るように先端を優しく愛撫していた。
そうして一しきり弄ってから手を離し、自分の手で射精する瞬間を見届けようと震える性器に目をやった。
「ふっ、う…ん、んぅ~…」
敏感な部分ばかりを触れられて、そのままイかせてくれるのかと思いきやウィリアムもアルバートも手を離してしまった。
そのことを内心不服に思いつつ、ルイスは自らを慰める手を止められないでいる。
もう少しで射精すると思う。
思うのだが、そこに至るまでの快感が足りない。
そのことに気付いてウィリアムが触れるときのように先端を強く刺激してみるが、腰が抜けるような激しい快感は付いてこなかった。
アルバートに教えられた部分に触れてもそれは変わらず、ルイスは焦ったように頭を振って自分の手と快感を表し勃ちあがっている性器を見る。
イきたいと思うのにイけない事実に、ルイスの瞳は段々と潤んでいった。
思い当たる現実に動揺と羞恥と、それ以上の戸惑いがルイスを襲う。
「ぁ、あ…ん、ふぁ、あぁ」
「…ルイス?我慢しなくても良いよ」
「あぁ。そろそろ限界だろう?イきなさい」
「んっ、ふっ…んぁ」
硬く膨らんでいる性器と達する直前特有の快楽に落ちた表情を見て、ウィリアムとアルバートは少しの疑問を抱いた。
感じやすいルイスであればもう既に射精していてもおかしくはないし、ここまでの長い時間を我慢させたこともないからさすがに限界は近いだろう。
ウィリアムもアルバートも、ルイスへの快感はとびきりのものを与えて苦痛など感じさせないよう意識しているのだから。
そのルイスが、特に制限をしているわけでもないのに限界近くまで射精することを耐えている。
これはどう考えても様子がおかしいことで、ウィリアムはルイスを抱く腕に力を込めて彼の顔を覗き込んだ。
「ルイス?大丈夫かい?」
「ふ…ぅえ…にいさん…」
「つらいんだろう?ほら、我慢せずイっていいよ」
「ん、んん…」
優しく声をかけられて、ルイスは瞳を閉じる。
閉じた瞬間に溜まっていた液体が涙として落ちていったが、それにかまけている余裕はなかった。
慰めていた手を離し、ウィリアムとアルバートの顔を見ようと体を捩る。
「イけない…イけないです…僕じゃイけない…」
「ルイス…?」
「う、ウィリアム兄さんか、アルバート兄様じゃなきゃ、イけない…ふ、ぇ」
どれだけ快感を得てもそれが自分の手によるものだと思うと、どうしても達するまでの快感を得ることが出来なかった。
今まで生きてきて、ルイスはウィリアムかアルバートに触れられることでしか射精したことがない。
まるでこの二人以外の手でイくことを体が拒否しているかのように、どれだけ自分の手で慰めようとも達するほどの快感を得ることが出来ないのだ。
涙は落ちたはずなのにまた溢れていて、視界がぼやけてはっきりと二人の顔を映してはくれなかった。
「ウィリアム兄さん…アルバート兄様…」
自分の体を抱いているウィリアムの首に縋るように顔を埋め、ルイスは込み上げてくる感情に唇を噛みしめた。
自分一人では欲を発散することも出来ないこの体、もしこの二人に捨てられたらと思うと惨めで仕方がない。
女を抱きたいと思ったことはないし、抱かれることに慣れ切った今、抱けるとも思えない。
男としては不完全で、ウィリアムかアルバートがいなければ上手く生きていける気もしない。
もっとも、ウィリアムとアルバートがルイスを捨てることはないし、ルイスが他の女を抱くことも他の男に抱かれることも許しはしないのだから、永劫やっては来ない未来ではあるのだが。
「一人じゃ嫌です…兄さんか兄様じゃないと、気持ち良くなれない…ぜんぜん気持ち良くないです…」
ぐずぐずと目に涙を浮かべながら話すルイス。
話している内容があまりにも衝撃的で、ウィリアムもアルバートも目を見開いて可愛い弟の姿を目に焼き付ける。
だが衝撃ゆえに気を取られていたのもつかの間で、一瞬だけ立ち直るのが早かったウィリアムはルイスの肩を掴んで濡れて赤く染まった唇に噛みついた。
正真正銘、噛みつくという表現が正しいと言わざるを得ないほど乱暴に、紳士的なウィリアムらしくない荒々しいキスだった。
「んっ、んん、ぁ、ぅむ、っ…」
「っは、ルイス、ルイスっ…」
「ぅん、ん~、ふ、っ…ぁ」
舌で唇をなぞられ、こじ開けられるように口の中を暴れるように舐められ、吐き出す息すら奪い尽くすようだった。
苦しいほどのキスはそれでもルイスの性感帯を刺激していて、上顎を擽られて舌先を絡められるとぞくぞくするような快感が全身を襲う。
酸素を取り込もうと唇をずらすことも許されず、ルイスはただひたすらにウィリアムからの過激なキスを受け入れていた。
そうして長い時間ルイスの唇を占領し、ようやく満足したのか名残惜しげに唇を離される。
熱かった唇が空気によって冷えていく感触に気付いて目を開くと、ろくに酸素を取り込む間もなくアルバートに腕を引かれて抱きしめられた。
暗く紅い瞳にアルバートの顔を映し出した瞬間、右頬に手を添えられてアルバートからも同様に激しく口付けられる。
ルイスの言葉から時間が経っていたせいかウィリアムよりも幾分か荒々しさは抜けていて、それでも熱烈なキスであることに変わりはなかった。
「ぅん、っ…ぁ、ふ、んんっ」
「っ…ふ、ルイス…っ」
歯列をなぞられ、縮こまる舌を引き出すような動きで促されるまま舌同士を絡ませ合う。
溜まった唾液を飲み込み喉が上下したのを見届けて、アルバートは僅かばかりの呼吸をさせてあげるために唇を離して隙間を作る。
そのタイミングで荒く呼吸をしたルイスの唇にもう一度覆い被さり、唇と舌の両方を愛撫するようにキスを続けた。
アルバートが満足するまでの長い時間、ずっと唇を吸われ続けていたルイスは意識が飛ぶほどの快感を自覚する。
瞼の裏側が点滅するような錯覚を覚えたかと思いきや、触れられていないはずの性器が揺れて抑えられない射精感を思い出す。
イきそうだと、そうルイスが思ったときにはもう遅く、ルイスの異変に本人よりも早く気付いたウィリアムが震えている性器に手を伸ばした。
そうしてアルバートに唇を奪われたまま、ウィリアムの手で性器に直接愛撫を施されたルイスはそのまま欲を吐き出してしまった。
「っふ、あ、んんっ…に、にぃさん、手が…汚れて…」
「上手にイけたね、ルイス。可愛かった」
「で、でも…」
「よく頑張ってくれた。ありがとう、ルイス」
「に、兄様…」
あれほど自ら慰めても一向に達する気配がなかったというのに、ウィリアムのキスとアルバートのキスだけですぐに射精してしまった。
そのことが恥ずかしくて、でもようやくもどかしいだけの弱い快感から解放された安堵とで、ルイスの体は無駄な疲労感でいっぱいだ。
もう何も考えたくない、考えられないと、ルイスは目の前にいるアルバートの首に頭を預ける。
一人ではどうにもコントロールできないこの体、どうしてやるべきなのかを考えなければならない。
けれど考えるまでもなく、二人の兄に頼る以外の選択肢はないのだ。
達したばかりの心地よい疲労感とは裏腹にルイスの心は重く沈んでいて、ウィリアムとアルバートの心内に気付く余裕はなかった。
「…すみません、お二人とも…うまく、出来なくて…」
「どうして?上手にイけたじゃないか」
「…一人でイけませんでした…結局お二人に頼ってしまって…」
「気にしなくていい。私も少し意地悪だったね、すまない」
「兄様…」
「よく頑張っていたから、今度はちゃんと僕達が気持ち良くしてあげるよ。お疲れ様、ルイス」
「ん、ん…」
アルバートとウィリアムに抱きしめられ、温かいその体に沈んでいた気持ちが浮上していくのを感じる。
誰より優しい二人の兄は、ルイスを捨てることはしないだろう。
今までだってずっと、過保護なくらい守ってくれていたのだから。
でもさすがに二人の手でしか射精できないという事実はどうにかしなければならない。
そんなルイスの考えを否定するかのように、ウィリアムとアルバートはそれぞれルイスの体をまさぐり愛撫していく。
自分好みに育てあげてきた甲斐があったとウィリアムは至極満足そうで、堪らないほど可愛い告白は的確に性欲のツボを付いてきた。
アルバートとしても自分でなければ駄目だと訴えかけるルイスの健気な姿に十分心を射抜かれた。
愛する末弟が自分達なしでは生きられないだろう事実がこの上なく嬉しい。
絶対に手放すものかと、紅と翡翠の瞳に沈んだ色を灯して綺麗に乱れるルイスの体を掻き抱いた。
(一人でイくことは出来なかったが、自慰をする姿と可愛い告白が聞けて何よりだったな)
(もしやとは思いましたが、実際に一人で射精できない姿を見るのは思っていた以上にそそりますね)
(今まで時間をかけて開発してきた甲斐があったというものだ)
(俄然意欲が出てきますね、これからも)
(泣きながら縋る姿はしばらく忘れられないな。瞼に焼き付いてしまった)
(イった瞬間、安心したように顔を綻ばせて凭れてくる体の熱さも忘れられませんよ)
(…だからお二人とも、そういった話は僕がいないところでしてください…!)
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