「やらかした」
ルイスの伊達眼鏡がウィリアムの指示というのもアリかなという、ほのぼのウィルイスとアルバート兄様。
ルイスを守ろうとして失敗するウィリアム、ルイスが持つ美のポテンシャルを見誤っていると良い。
ちなみにウィリアムもアルバート兄様も想定通りの美しさと格好良さを兼ね備えて成長しているので想定内です。
僕の弟は世界で一番可愛らしい。
右を見ても左を見ても上を見ても下を見ても、どこの誰と比べようと比較にならないほど可愛らしい顔立ちと純粋無垢な魂を持っている。
大きな瞳は薄暗くも澄んでいて、鈴が鳴るような声は耳馴染みが良い。
纏め上げて流れる金の髪は絹のように柔らかいまま小さな輪郭を縁取っている。
くすみのない真っ白い肌は見た目通り滑らかな触り心地をしており、頬に大きな傷があろうともその魅力に一切の影響がない。
いやむしろ、完璧なほどに愛らしいその顔に残る痛々しい傷跡はより一層の庇護欲をそそるのだから、相乗効果で愛おしさが増してしまう。
幼い顔に見合わない傷跡は、今はまだ知れていないルイスの魅力を底上げしてしまうのではないだろうか。
きっとルイスはこれから先、ますますの愛らしさを携えた大人になる。
一緒に大人になれることが約束された現実は、なんとも甘美な喜びを兄へと与えてくれるのだ。
本当に、心からとても嬉しく思う。
けれど可愛らしい弟が衆人環視の的になってしまうことだけはどうにも容認出来そうになかった。
「ルイスは可愛いでしょう」
「え?」
「ルイスは可愛いでしょう」
「あぁうん、聞こえていなかったわけじゃないんだ。わざわざ二度も言ってくれてありがとう」
過去を捨ててモリアーティ家の次男に成り代わり、ウィリアムと名を変えた幼い少年はいつも浮かべている笑みを見せずに同じことを繰り返す。
我が弟であるルイスのことが可愛いのだと、可愛くて堪らないのだと兄になってくれたアルバートへと懸命に訴えかけた。
珍しくも真顔で、ゆえに冗談ではなく本気かつ本心なのだと理解出来る。
アルバートは一瞬だけ呆気に取られるが、今後に関わる重要案件への導入なのだろうかと身構えた。
「ご覧の通りルイスはとても可愛らしいので、欲望にまみれた貴族社会に上手く溶け込めるのか、僕は不安で仕方ありません」
「…」
少なくとも重要案件にまつわることではなさそうだと、アルバートは無意識に上げていた肩の力を抜いた。
新しくウィリアムになったこの弟はとても聡明で意識の高い人間である。
アルバートがどんなに憧れても得ることの出来なかった家族への愛も十二分に持っていて、たった一人の弟であるルイスに向ける無償の愛は打ち震えるほどに美しい。
なるほど、世間一般の兄という存在は弟に対しこういった心配をするものなのか。
真剣な顔で今ここにはいない弟を思い心配するウィリアムを見て、アルバートは感銘を受けたようにエメラルド色の瞳を輝かせた。
「さすがウィリアムだね、弟への愛情に満ちている」
「アルバート兄さん、僕は心配なんです…ルイスはあの通り可愛らしいですし、人見知りもしやすい。美しいものを好む貴族に興味を持たれることは十分考えられますし、そうでなくてもルイスは非道な人間が求める反応を返してしまう。純粋無垢であることはルイスの長所ですが、貴族相手では短所になってしまいます」
「あぁ、なるほど…そうだね」
彼が手にかけたモリアーティ家の次男は、自らが課した責苦にルイスが戸惑い耐える様を見て喜ぶタイプの人間だった。
ウィリアムも標的になることは多かったし、余裕めいた笑みはより反感を買って酷い仕打ちになっていたことをアルバートは知っている。
けれどそれとは別に、ウィリアムほど上手く受け流せないルイスはいびり倒すことを好む人間にとっては格好の的なのだ。
理解出来ないけれど、虐げる側の人間から見ればルイスの反応は望んでいたものなのだろう。
ウィリアムの心配は最もだと、アルバートは未だ距離がある末の弟を思い浮かべた。
「ですが、養子とはいえ伯爵家の人間に直接危害を加える貴族はいないでしょう。なのでそれは良いのですが…」
「では何が心配なんだい?」
「ルイスの可愛さに気付いた貴族が、ルイスに無体を強いることがないか心配なんです」
変わらず真剣な顔で、可愛い弟の身の安全を気にするウィリアムを見てアルバートは記憶を辿る。
確かにルイスの顔は可愛らしい。
小さな顔にバランスよく配置された大きな瞳と小ぶりな鼻とふっくらした唇は、審美眼に優れたアルバートから見ても見目麗しいと表現せざるを得ない。
見ていて不快になるどころか、見ていて心が癒される。
だがそれはウィリアムとて同じだ。
ウィリアムとルイスは瓜二つ、とてもよく似ていてとても美しい。
自分のことは棚に上げてルイスのことばかり可愛らしいと褒め称えるウィリアムには少しの違和感を覚えるが、まぁ兄とはそんなものなのだろうとアルバートは一人納得していた。
「確かにルイスは可愛らしい顔立ちをしているね。あまり邪推したくはないけど、あの子に興味を持つ人間は間違いなくいるだろう」
「…やはり」
「だがウィリアム、それは君も同じだと思うけれど」
「僕はルイスと違って上手くやり過ごす自信があるので問題ありません」
「そう。それなら良いのだけど」
何事も卒なくこなすウィリアムのことだから、余計な心配は邪魔になるに違いない。
ひとまずウィリアムへの心配はやめて、アルバートは人見知りで未だ慣れてくれないルイスのことをもう一度考えた。
無体を強いるかどうかはさておき、ルイスほど愛らしいのであればそばに置いておきたいと思う人間はきっといるだろう。
事実、アルバートが多少なりともそう感じているのだから。
元孤児の養子という立場がどれほど免罪符になるかは分からないけれど、表立って執着出来ない分、裏で厄介な行動を起こさないとも限らない。
なるべく貴族の集まりには連れて行かないつもりだが、ウィリアムの不安はそれだけでは拭えないほど大きいのだろうとアルバートは推察した。
「周囲がルイスの愛らしさに気付かなければ良い訳だね。ふむ…何か良い案はあるかな」
「…アルバート兄さん、一つわがままを言っても良いでしょうか?」
「何だい?」
「眼鏡を一つ誂えてほしいのです」
「眼鏡を?」
「はい。度は入っていなくて構いません」
「伊達眼鏡ということかい?」
「えぇ」
洒落っ気のない、機能性のみに特化した伊達眼鏡を用意していただけないでしょうか。
そう願うウィリアムの顔は真剣で、アルバートが拒否するという選択肢は存在しなかった。
「ルイス、こちらにおいで」
「はい兄さん」
「僕とアルバート兄さんからプレゼントだよ」
「僕にですか?」
わぁ、と嬉しそうに頬を染めて、ウィリアムから渡された小さな箱を抱えて喜ぶルイスはとても可愛らしかった。
幼くも整った顔にはにかむような笑みを浮かべる姿は兄弟になって日の浅いアルバートでさえ胸を擽られるほどに愛らしいのだから、彼を溺愛するウィリアムにとっては堪らないほど癒される姿なのだろう。
温かくなるような癒しを実感するアルバートを他所に、ウィリアムはルイスを抱きしめることで愛情を表現していた。
「開けても良いですか?」
「うん。きっと似合うと思うんだ」
ウィリアムの腕の中、嬉しそうに顔を緩ませながらルイスは手に持った箱に視線を落とす。
そうしてちらりとアルバートを見ては恥ずかしそうに瞳を逸らしてしまった。
まだアルバートに対して素直になりきれていない姿も初々しくて、ウィリアムはまたもルイスの体を強く抱きしめてから箱を開けやすいよう少しだけ隙間を作ってあげる。
そうしてルイスがリボンをほどき、箱の蓋を開け、中から出てきたのは紺地に紫で縁取られた特注の眼鏡ケースだ。
だが今まで眼鏡をかけたことのないルイスはそれが何なのかよく分からず、箱の中にまた箱がある、とぽつり呟いていた。
「眼鏡…?」
「そう。ルイスに似合うと思って用意したんだ」
「僕、目は悪くありませんけど…」
「きっと似合うよ。掛けてみて、ルイス」
「…?」
ケースの中を開け、クロスに包まれた眼鏡を見てルイスは細い首を傾げる。
当然だ、今まで眼鏡を必要としたことはないし必要だと感じたことすらないのだから。
どうしてだろうと顔を上げても明確な答えは返ってこなくて、ただただ掛けてみてほしいと懇願されるばかりだった。
ルイスはアルバートを見てみるが同じく視線で掛けてみるよう促されるだけで、疑問は消えないけれど二人が望むなら掛けるのが正しいのだろう。
ウィリアム、ひいてはアルバートを疑うことなどルイスの頭には存在すらしなかった。
期待に満ちた兄の視線を浴びながら、ルイスは緊張した面持ちで初めて手に取る細いフレームに薄いガラスが入ったそれを見る。
そうして肩にウィリアムの体温を感じながら、慣れない仕草で眼鏡を掛けた。
「ど、どうですか」
澄んだ瞳はガラスの向こうに隠されて、伸ばし始めた前髪と合わさってルイスの顔は少しばかり印象が変わってしまう。
可愛らしいその顔は少しだけ野暮ったくも見えてしまい、似合ってはいるのだろうがない方がよほど可愛いのは間違いない。
緊張した表情でウィリアムを見て、そしてちゃんとアルバートも意識しながら二人の反応を待つルイス。
そんな弟を目に収め、二人の兄は静かに視線を合わせて頷き合った。
「よく似合っているよ、ルイス。出来ればこれからずっと掛けていて欲しいんだけど、駄目かな?」
「兄さんの望みならば掛けます」
「良かった。ありがとう、ルイス」
何故掛ける必要があるのか、一体どんな意味があるのか、何か重要な目的があるのか。
それらを一切問いかけることなく、ルイスはウィリアムの希望であるならば眼鏡を掛けて生きることを了承した。
よく分からないけれど兄さんが望むなら従いますと、ルイスは慣れないガラス越しにウィリアムを見上げて力強く頷いている。
自分に対しては疑うことを知らないまま成長してきたのだから当然だと、ウィリアムは安心したように息を吐いた。
「プレゼント、とっても嬉しいです。ありがとうございます、兄さん。と、…アルバート、様」
「どういたしまして。大事にしてくれると嬉しいな」
「はい!」
「慣れないうちは困ることもあるだろうけど、早く慣れると良いね」
「…はい」
分かりやすくウィリアムとアルバートへの対応に差があるけれど、手探りでアルバートと距離を詰めようとしている姿がまた可愛いのだとウィリアムは評価する。
アルバートも早くこちら側に来てくれれば良いのにと思う。
だがまだ焦ることはないだろうと、ウィリアムはもどかしいほどゆっくりと兄弟になろうとしている二人を見た。
似合っているよとアルバートが誉めてあげれば、隠しきれない嬉しさで赤い瞳が輝くルイスがいる。
それでも上手く返事は出来ないようで、口籠もりながら無意味に眼鏡のブリッジへ手をやっていた。
まだまだその姿は不慣れで様にはなっておらず、背伸びしすぎて不恰好にも見えてしまう。
「ルイス様、そろそろ約束の時間ですよ」
「あ、今行きます!兄さん、アルバート様、僕はここで失礼します」
「紅茶の淹れ方を教わる約束をしていたんだったね。呼び止めてごめん、行っておいで」
「行ってきます」
「あら、眼鏡をかけたんですね。目が悪かったのですか?」
「えと…はい。お二人から頂きました」
「そうですか。アルバート様もウィリアム様もお優しいですね」
「…はい!」
呼びに来たハウスメイドと共に部屋を去ったルイスを見送り、ウィリアムとアルバートはまたも静かに視線を合わせた。
最近のルイスはアルバート好みの紅茶を淹れられるよう猛特訓中なのだ。
大事そうに箱と眼鏡ケースを抱えて場を去るルイスの足取りは浮き足立っていて、本当に喜んでくれたことがよく分かる。
「あれで良いのかい?正直、似合ってしまっているような気がするけれど」
「何もないよりはマシでしょう。ルイスは可愛いので眼鏡が似合うことも想定済みです。けれど眼鏡を掛けているよりも素顔の方がよほど可愛いのだから、それだけでも掛けさせる効果はあります」
「確かに…幼いルイスに眼鏡は少し大人びていて、アンバランスな印象はあったな」
「あの姿ならすぐさまルイスの愛らしさに気付く人間は少ないはずだ。まずはそれで構いません。僕以外の誰かがルイスと長い時間を過ごすことはありませんから。あぁ、アルバート兄さんは別ですよ」
にっこりと笑みを見せてアルバートを顔を合わせるウィリアムは至極満足げだ。
ルイスの眼鏡姿はよく似合っていた。
だが知的な印象を与える分だけ可愛らしさは半減していて、ルイス本来の魅力を引き出せていないことは明白だ。
ウィリアムの予想通り、眼鏡はルイスが持つ幼さゆえの愛らしさを隠してしまっている。
加えて目立つ傷跡を隠そうと伸ばし始めた前髪と合わせると、その可憐な顔立ちは随分と奥にいってしまう。
これは何とも好都合だ。
ルイスの愛らしさを無くすことが難しいのなら隠してしまえば良い。
不自然なく隠すためには伊達眼鏡を掛けさせるのが手っ取り早いと、ウィリアムは自分の判断に太鼓判を押すように頷いた。
可愛い弟の可愛い顔を隠してしまうのは惜しいけれど、それで要らない心配が消えるのならば何も言うことはない。
どうせあの可愛らしい顔立ちは自分が望めばいつでも見ることが出来るのだと、兄としての特権に優越感を覚えながらウィリアムは安堵の息を吐いた。
これできっと大丈夫だ。
野暮ったい眼鏡は周りが抱くルイスへの興味を確実に削いでくれる。
貴族が持つ好奇の目に晒されることがなければ、ルイスは誰の目にも留まらずウィリアムのためだけの可愛い弟のままだ。
もう安心だろうと、ウィリアムは眼鏡で素顔を隠し始めたルイスを想った。
過去、そんなことを考えていたこともあったな。
ルイスが用意してくれたダージリンのカップを目の前に、ウィリアムはぼんやりとそう考えながらテキパキ働く弟を見る。
可愛らしいその顔を隠すために眼鏡を掛けさせたはずなのに、今ではその眼鏡がルイスの魅力を何倍にも引き上げる効果を担っていた。
完全に誤算である。
「はぁ…」
「兄さん、何か悩み事ですか?」
「あぁ、何でもないよルイス」
「…それなら良いのですが」
思わず漏れた大きな溜め息にすぐさま不安そうな表情と声を向けるルイス。
その顔立ちは愛らしく可憐だった昔の面影をちゃんと残した上で、凛々しく秀麗な美貌を携えている。
これ以上ないほど正しく成長したのだろうと思わせる美しい容姿にはウィリアムでさえ戸惑うほどだ。
あれだけ愛らしかった弟が、まさかここまで美しく成長するとは想定外だった。
てっきりあのまま小柄で可愛らしく成長すると思っていたからこそ、その顔立ちを少しでも隠すため眼鏡を掛けさせたというのに、今のルイスは昔の何倍も眼鏡が似合う理知的な美貌を持ち合わせている。
美しいだけならともかく、何故か感じ取れる憂いと儚げな魅力は一体どこから来たものなのだろうか。
「何か困ったことがあったらいつでも教えてくださいね。僕はいつでも兄さんの力になります」
「ありがとう、ルイス。何かあったらそのときはお願いするよ」
「はい」
一緒に大人になれるとは思っていなかったから、ルイスが成長した姿を上手く想像出来ていなかったのかもしれない。
体も弱かったから背が伸びるとは思っていなかったし、愛らしい人間は愛らしいまま大人になると思っていたのだ。
病を克服した体でも適切な栄養と睡眠があれば身長など十二分に伸び、幼い頃に可愛らしいのであれば時間と共にそれは美しさへと変貌を遂げる。
なるほど一つ勉強になったなと、ウィリアムはあまり知りたくなかった知識をルイスから教えられた気分だ。
憂いを帯びた儚さを持ち合わせる美しい弟は、眼鏡を掛けることでその魅力を何倍にも底上げされてしまっている。
これが眼鏡美人という一定の人気を誇る存在なんだろうとしみじみ思う。
野暮ったい眼鏡を掛けていた時期は脆いほどあっという間に過ぎ去ってしまい、今のルイスは滅多に夜会へ参加しないというのに周囲の貴族から噂されるまでになってしまったのだ。
眼鏡ごときでルイスの魅力は隠せないどころか、眼鏡こそがルイスの魅力を上げて周囲の興味を引いてしまうのだと、過去に戻れるのならば自分自身へ懇切丁寧に教えておきたいほどである。
こんなはずではなかったのだ、自分が望んでいた未来は。
だが美しく成長した弟もまた、ウィリアムにとっては堪らなく愛おしくて可愛らしいことは間違いない。
ウィリアムはまたもこぼれそうな溜め息を何とか飲み込み、未だ納得出来ない表情でそばに佇むルイスを呼び寄せて己の隣に座らせた。
そうして金の髪がかかる愛用の眼鏡を外し、カップの近くに置いてしまう。
「眼鏡、よく似合っているね」
「はぁ…ありがとうございます」
眼鏡姿を褒める割には眼鏡を外してそちらに視線をよこすこともしない。
そんなウィリアムを近くで見つめ、ルイスは疑問を感じながらも誉められたのだからありがたく受け取るべきだと礼を言った。
綺麗な兄が複雑そうな顔で自分を見る姿は居心地が悪い。
だがあまり悪い印象は受けないから、ウィリアムが望むように気にしない方が良いのだろう。
ルイスは昔と変わらず大きな瞳で、けれども可憐さよりも秀麗な美貌を無意識に振り撒きながらウィリアムを見つめていた。
「近々、新しい眼鏡を贈ろうか」
「まだ問題なく使えますよ」
「僕が贈りたいんだ。受け取ってくれるかい?」
「…兄さんがそういうのであれば。楽しみにしていますね」
「うん」
洒落っ気のないシンプルな眼鏡はルイスによく似合っている。
だが結局、ルイスは眼鏡を掛けていない姿が一番彼らしく美しいと思う。
周りにこの姿を見せていないのだからそれだけでも眼鏡を掛けさせた意味はあったかと自分を納得させ、ウィリアムは普段ガラス越しに見ている大きな赤い瞳を瞼の上から愛でるようにキスをした。
(おやルイス、眼鏡を新調したのかい?)
(はい、アルバート兄様。ウィリアム兄さんが先日贈ってくださいました)
(そうか。よく似合っているよ)
(ありがとうございます)
(…よく似合ってしまっているな、今の眼鏡も)
(…えぇ。完全に誤算でした。まさかルイスがここまで眼鏡の似合う美人に成長するとは)
(薄々予想してはいたが、あの幼い姿からこうも真っ直ぐ綺麗になってしまうのも凄いな。ルイスが持つポテンシャルだろうか)
(喜ばしいことではあるのですが、周囲の反応を見るに安心出来ないのは確かです。ルイス本人は自分の魅力に一切興味がなさそうですし、無自覚なまま今に至っています)
(せめてルイスに自覚があればもう少し違っていたんだろうな…)
(…周りと断絶しすぎた影響でしょうか…いずれにせよ、僕の計算違いです。やらかした)
(ふ…ウィリアムでも違えることがあるんだな、覚えておこう)
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