【R18】上手にイけたね
ルイスの精通はウィリアムが見てあげてたらいいな、というウィルイスのいちゃいちゃ甘々えっちぃお話。
最後まではシてないけど、この先ウィリアムが色々教え込んでルイスを抱きます。
兄にとってのルイスとは、いつだって幼く可愛い無垢な弟だった。
自分にしか心を開かず頑なな様子は兄としての自尊心を満たしてくれたし、大きく澄んだ瞳は小動物のように愛くるしい。
透明感ある白磁の肌は整った顔と相まってまるで高級なお人形のようだったけれど、実際は心臓を患っていた影響で血色がなかったのだと知るのは割合遅かったように思う。
どこもかしこも真っ白で細く小さい、等身大のビスクドールみたいな弟。
ルイスが眠るたびにもう目覚めないのではないかと不安にならない夜はなかったし、起きてくれたときにようやくこの子は人形ではなく自分の弟なのだと実感出来て嬉しかった。
最愛の弟と一緒に大人になりたいと願う兄は、その優れた頭脳にたくさんの知識を詰め込んだ。
いつかこの英国を美しい世界へ浄化させる方法を考えるよりも前に、まずはルイスの体について知らなければならないと考えたからだ。
ゆえに人体の構造から学び、ルイスが患う心臓の機能や疾患についても徹底的に知識を吸収していった。
けれど専門的な知識は借宿にしている貸本屋では追いつけず、こっそり図書館に忍び込んでは医学と薬学についての知識を吸収し、彼は来るべきその日に備えて生きていたのだ。
そんな中でアルバートに拾われ、ルイスに治療を受けさせることが出来たのは何よりもの幸運だった。
兄は幼く可愛い最愛の弟と、一緒に大人になることを約束されたようなものなのだから。
「兄さん、アルバート兄様が先にお湯を貰うようにと言っていました」
「分かった。すぐに行くよ」
「はい」
可愛い弟は心臓を治して数年経った今も未だ血色は良くない。
けれど以前に比べれば大分改善されているし、青白いというほどではない綺麗な色の肌になった。
少なくとも人形めいた無機質さを感じさせることはない。
ルイスはウィリアムが今まで知っていた姿とは少しずつ変わってきており、それがどこか実感のない別次元のことのように思う。
洗い立てのタオルを持って兄を待つルイスは、もう発作に苦しむこともない健康な体を持っているのだ。
「アルバート兄さんは何か用事でもあるのかい?」
「学校に提出するレポートを仕上げてしまいたいと言っていました」
「そう。お風呂が終わったらお茶でも届けに行こうか」
「勿論、兄様が好んでいる茶葉を用意してあります」
ロックウェル家での居候期間を終えて三人きりの生活を始めたモリアーティ家の三兄弟は、念願叶った穏やかな日々を過ごしている。
イートン校での休暇を利用して定期的に自宅で過ごす時間は他のどこよりも安心出来る毎日だ。
普段は朝にシャワーを浴びることが多いけれど、今日はジャックから精進するようにと与えられた訓練に精を出したため、体をほぐす目的で夕食後の湯船に湯を張っていた。
二人はルイスが清潔に管理している浴室へと足を運び、それぞれ服を脱いでいく。
昔からの習慣ゆえにルイスが恥ずかしがることもなく、ウィリアムも堂々とシャツにスラックス、下着までを脱いで裸になった。
一つとはいえルイスよりも長く生きているウィリアムの体は既に少年から青年へと変化している。
「兄さん、ぬるくないですか?」
「ルイスの心臓に良くないから熱いお湯は駄目だよ」
「でも、これじゃあ兄さんは寒いのでは」
「大丈夫だから」
軽くシャワーを浴びて汗を流し、互いに泡を纏い体を洗ってから水で薄めた湯船に浸かる。
ルイスが気にするように少しだけぬるい湯はその心臓に負担をかけないための配慮だ。
完治したとはいえ、ウィリアムはルイスの体に少しでも負担がかかるような真似はしない。
線の細いルイスの体を後ろから抱きしめて、自分の温もりを分け与えるようにすれば寒さは感じないだろう。
ウィリアムの言いたいことが伝わったのか、ルイスは火照った頬に笑みを乗せて背後の彼に体を預けて手足を伸ばした。
広いバスタブはウィリアムとルイスが手足を伸ばしても、成長期を迎えて長いアルバートが手足を伸ばしてもまだ余裕があるほどに広い。
「ふふ、気持ち良いですね」
「そうだね」
ぬるま湯に浸かって笑うルイスの表情は無垢そのもので、穢れなど何も知らないように見える。
事実、何も知らないのだろう。
ウィリアムがそうあるようにルイスをコントロールして生きてきたのだから当然だ。
けれど病を克服した体はしっかりと大人に近付いていて、幼いばかりだった体はどこか筋張ってきているようだった。
幼く可愛いばかりだったルイスは少年から青年になろうとしている。
ウィリアムは透明な湯の奥に歪んで見えるルイスの体をじっと見つめ、昔よりもはっきりした形に変化している淡い色の性器に優しく触れた。
「ひっ、ぁ…!?」
「あぁ、ごめんねルイス」
「な、なんですか兄さん」
「何でもないよ」
ウィリアムの指がルイスの陰茎部分にかかり、先端に触れて擦るように擽ってみれば小さな体が驚いたように跳ね上がる。
大きく目を見開き白い肌を羞恥で染める表情が可愛らしくて、ウィリアムは後ろから宥めるように滑らかな頬へキスをした。
驚いてはいるが抵抗はせず、預けた背中もそのままだ。
ルイスがウィリアムから逃げることはなく、気恥ずかしそうに視線を前にやって俯いている。
居心地悪そうに細い太ももを閉じて隠そうとしているが、ウィリアムに触れられた性器が力なく垂れている様子が後ろからはよく見えた。
それを良いことにウィリアムは今触れたばかりのそこに目をやって、周囲にうっすら生えている産毛のようなものの存在に気付く。
大切な部分を守るためのそれはウィリアムにも生えているが、元々体毛が薄いようであまりはっきりした存在感はない。
ルイスのものは最近生え始めたばかりなのか、ウィリアム以上に心許なく細かった。
おそらくルイスの体はこの産毛のようなものを携えたまま成長していくのだろう。
病が完治した体は普通の少年同様、大人への階段を上っている最中なのだ。
「ちゃんと、成長しているんだね」
「え?兄さん、何か言いましたか?」
「何でもないよ」
今日の兄さん、どこか変です。
大きな瞳にそんな疑問を乗せているルイスを抱きしめ、ウィリアムは柔らかく温かい体を感じながら天井を見た。
透けるように白い肌は今だけは全身桃色に染まっていて、以前までならふにふにと柔らかかった皮膚は筋肉も脂肪もほとんど付いていないのにどこか引き締まっているように思う。
そういえばいつの間にか背も随分と伸びていて、細かった首も少し太くなっている。
声はまだ高いけれど次第に低くなるのだろうし、そうなると二次性徴もすぐに迎えて終わるのではないだろうか。
当たり前だ、ルイスは今、健康な少年そのものなのだから。
そんなことに今更気付いたウィリアムは、自分が今までルイスの成長を信じきれていなかったことを自覚した。
一緒に大人になると信じていたのに、ルイスはいつだって小さく幼い子どものままで、成長することとは縁遠い存在だと無意識に思い込んでいたのだ。
ウィリアムがかつて人体について調べていたとき、少年の二次性徴は個人差はあれど12歳を平均に始まるといくつかの文献に書かれていた。
事実ウィリアムは、ロックウェル家に来てちゃんとした栄養と休息を確保してしばらくした12歳頃を目安に、自分の体に変化が現れたことを覚えている。
少年から青年へと変化していく年頃の中、そういうものなのだとどこか落ち着かない日々を今も尚送っているのだ。
だが、ルイスの体に今までそういった変化は一切見られなかった。
ルイスは今年で15歳になる。
平均としては遅いけれど、それでも問題のない年齢での変化だ。
劣悪な環境で過ごした幼少時代に加え、心臓を治すための治療期間があったからウィリアムよりも成長が遅かった。
ただそれだけのことなのだと、ウィリアムはようやく気が付いてしまった。
人形のような弟は本当に人間で、穢れを知らないはずの体に生々しい性を宿そうとしている。
高い声は低くなり、低い身長は高くなり、薄いだろうけど体毛もきっと濃くなる。
そして幼い性器は大人びていき、欲望の証である液体を吐き出す日も来るのだろう。
「ルイスが精通するのか」
「…兄さん?」
「あぁ、ごめんね。何でもないんだ、本当に」
「…?」
教えていないせいか言葉の意味が分からなかったらしいルイスは、聞こえた単語を反芻するでもなく首を傾げている。
感じる重みを愛しく思いながら強く抱きしめていると、途端に腕の中の弟がより一層愛おしく思えてきた。
ウィリアムは誰よりもルイスを愛しく想うと同時に、誰よりもルイスを神聖視していたらしい。
性とは無縁の幼い子どもだと、ずっと無意識にそう思っていた。
けれど、やっとルイスは自分と同じ体を持つ子なのだと理解する。
穢れを知らないはずの体は、今後人並みに穢れを知っていくのだろう。
無垢な体と無知な思考に本能的な性が刷り込まれるのかと思うとゾクゾクした快感が過ぎる。
十分に温まった手で湯と遊ぶルイスを見て、ウィリアムは濡れた髪が張り付くその首元に顔を埋めた。
今後どう動くのが正解だろう。
何も知らないのであれば教えてあげるのは自分以外には存在しない。
この体が少年から青年へと変わっていく様子を見守るのは当然として、いずれルイスもこの淡い色をした可愛い性器から真っ白い精液を吐き出すのだ。
初めての瞬間は絶対に自分がその場にいたいし、処理方法含め全て教えてあげなければならない。
ウィリアムは新しい楽しみを見つけたように口元を歪め、ルイスに気付かれないようそっとほくそ笑む。
けれどルイスはそんな兄を知ることなく、自分のものより節張って長いその指に己の指を絡めて機嫌良さそうに喉を鳴らしていた。
「ルイス」
「っん、…ふ、ぅ、んむ」
「は、…」
「ぁ、ん…にぃさ、ぁ」
新しく居を構えたモリアーティ家の邸宅において、ルイスの寝室は形ばかりの空間だ。
基本的にルイスはウィリアムの部屋でウィリアムとともに眠っている。
ウィリアムが夜更かしするときには彼の気配を感じながらルイスは一人そのベッドで眠り、目覚めたときにはウィリアムに抱きしめられているのが常だった。
けれど最近のウィリアムは夜更かしをやめ、ルイスが寝入るまでの間に濃密なキスを交わすようにしている。
眠る前のキスは習慣化していたからルイスも嫌がることはなかったけれど、今まで以上に深く濃いキスは不思議と気分が高揚してしまう。
舌を絡め合わせてから歯列をなぞられ、増えた唾液を飲み込んでいると長く合わせていた唇を離された。
「ん…ふ、ぁ」
「ルイス、おやすみ」
「ぁ…おやすみ、なさぃ…」
「ふふ」
濡れた唇を舐められて甘ったるく囁かれる。
薄暗い部屋の中、目を凝らせばすぐ近くにウィリアムの顔が見える距離に彼がいるのだ。
色素の薄い瞳を見つめているともう一度、おやすみ、と言われて頭を抱き込まれてしまった。
「…兄さん…?」
「もう夜は遅いから、早く休もうね」
「は、い」
以前までだったらこんなにも深いキスはしなかったのに、最近のウィリアムが執拗なまでにキスを求めてくるのは何故だろうか。
決して嫌なわけではない。
ルイスにとってウィリアムとは他の誰より大切な人なのだから、その彼に与えられるものは何であろうととても嬉しいものなのだ。
ウィリアムと交わすキスは心が満たされるし、何よりも安心出来る不思議な感覚はルイスに目一杯の幸せを与えてくれる。
甘く長いキスをしていると、まるで思考が蕩けるようにふわふわと気持ちが高揚してしまうのだ。
最初のうちは苦しかったけれど、ウィリアムがタイミングを教えてくれてからはちゃんと合間で息をするようになり、長くキスを続けられるようになったのも嬉しい。
けれど最近は嬉しいだけではなく、唇を合わせる物理的な気持ち良さだけでもなく、何故か体の奥の方がうずうずするような感覚があった。
とぐろを巻いているような、蠢いているような、暴れ出してしまいそうな、そんな何かが体の奥にある。
ルイスはその違和感が何なのかよく分からないまま、今日もウィリアムからのキスを受け止めてはあやされるまま瞳を閉じて眠りに就いた。
「…ふふ。そろそろかな」
ルイスはウィリアムとは違って宵っ張りではない。
暗い中でウィリアムに促されればすぐに眠ってしまう程度には夜遅く起きていることが苦手だ。
今もあっという間に寝息を立てており、安心し切ったようにウィリアムの胸にその頬を預けている。
ウィリアムはその様子を愛おしげに眺め、綺麗な顔に残る痛々しい傷跡にそっと手をやった。
そうして堪能したばかりの唇をなぞり、そのまま衣服を伝って細く頼りない下半身へと手を伸ばす。
布の上から触れるのは昔とは形を変えた成長途中の未熟な性器だ。
まだ柔らかいそれに指を添えて軽く揉み込むようにしてみれば、うっすら硬くなるのを指先で感じ取ることが出来る。
何も知らない体ということを考慮すると反応は上々だろう。
ルイスも自分の体に違和感を覚えているようだし、このまま抱き合い濃密なキスを交わしていればじきに初めての射精をするに違いない。
無垢で幼い体を無理矢理大人にしてしまうことに罪悪感がないわけではないけれど、どうせルイスの全ては自分のものだ。
ルイスもそれを望んでいるし自覚しているのだから何も問題はない。
愛しいルイスの初めてを全てこの目に焼き付けなければ、この先ずっと後悔して生きていくことになるだろう。
夢精といった形でルイスの初めてを見逃してしまうくらいなら、自分自身の手でルイスを大人にしてみせる。
ウィリアムがそう考えながら眠っているルイスの性器に触れて弄んでいると、さすがに刺激が強すぎたのか、ルイスの寝息に色気が混じり糖度が増した。
耳に届く音を聞いてこれ以上はやめておこうと赤らんだ頬に自らの頬を擦り寄せ、もう一度その体を抱きしめてから瞳を閉じる。
来週辺りが頃合いだろう。
無垢なルイスを自分の手で大人にすることを楽しみに、ウィリアムはルイス同様静かに意識を何もない底へ沈めた。
「、ふ、ん…っ、ぁ、ふ、んん」
横を向いて抱き合うのではなく、ルイスの体を押し倒した状態で、ウィリアムはその柔らかい唇を貪っている。
漏れ出る吐息を逃すのも惜しくなってついつい呼吸を奪うように唇を重ねてしまうが、見れば何とか合間で息をしているようだ。
ルイスもウィリアムに負けじと必死にその唇へ食らい付いている。
文字通り互いの唇を食べてしまうような濃厚なキスは部屋の中に厭らしい水音を響かせていた。
それがウィリアムの耳には心地よくて、けれどルイスの耳には羞恥を与えていたらしい。
ウィリアムの肩に添えられていたその手が離され、耳を抑えるように頬へと当てられてしまった。
「っ、ルイス…」
「ぁ、ん…にぃさ、…んっ、ぁ」
混ざり合った唾液が細い糸のように二人の唇を繋ぎ、プツンと切れてはルイスの唇に垂れた。
自らの頬と耳に手を当ててウィリアムを見上げるルイスの瞳は随分と蕩けていて、それでいて欲に染まっているようにも見える。
ぞくりと過ぎった快感に逆らうことなく、ウィリアムはルイスの手を取りそれぞれ指を絡めて額を合わせた。
「ルイス…」
「に、兄さん…あの、」
「なぁに?」
「…えと…その、す、少し離してもらってもいいですか…?」
「どうして?」
「……えっと…」
いつものようにウィリアムの指に自分の指を強く絡めることなく、ルイスは視線を逸らしながら落ち着かない様子を見せている。
潤んだ瞳と赤らんだ頬、そして何より、悩ましげなその雰囲気がウィリアムに全てを教えてしまっていることにルイスは気付かないのだろう。
幼さに見合わない色香を見せるその表情に見惚れながらそっと視線を下にやると、薄い衣服で覆われた下半身は僅かに盛り上がっていた。
毎晩毎晩、根気強くキスで快感を教えた甲斐あって、ルイスの体ははっきりと性欲を覚えているのだ。
それを自らの性器で表している。
自覚があるのかないのか、少なくともウィリアムを遠ざけたいというのならば、最低限自分の下半身が普段と違うことには気付いているはずだ。
体は未経験でも本能的に吐き出したいという欲があるのだろう。
ウィリアムはくすりと笑ってルイスの返事を静かに待った。
「あ、あの…と、トイレ、いきたいです」
「トイレに?さっき行ったばかりだよ?」
「…えっと、…」
「ルイス?」
「…兄さん、僕の体、変なんです」
「それは大変だね。どこが変なの?」
「…体が熱いです。むずむずする…」
「へぇ…」
未知の変化をたどたどしく兄に伝えるルイスは年齢の割に幼く見えて、ウィリアムの欲を正確に刺激する。
熱い息を吐き出すルイスの唇を眺めつつ、ふと視線を合わせてみれば戸惑ったように大きな瞳が潤んでいた。
「おなか、苦しいです…変な気持ちになる…」
「そうなんだ。…苦しいのはここかな?」
「ひっ…う、ぁん」
「ふふ」
手を伸ばして体の中心に触れてみればそこは冷えたルイスらしくないほど熱くなっていて、それでいて芯を持つように硬くなっている。
喉を締めるようなルイスの甲高い声に気を良くしたウィリアムは、笑みを深めて緩くそこを撫で回した。
やんわりした刺激はもどかしい快感をルイスに与えていることだろう。
「ゃ、だめっ…にいさ、そこ、触ったらきたない、っ…ぁ、あ」
「汚くないよ、ルイス。君の体はどこも綺麗だ」
「でも…っ、ふ…ぁう、んん」
「気持ち良い?」
「…きもち、いぃ…?ん、なにが…ぁ、」
感じていることは分かっていてもそれを快感だとは捉えていないルイスがあまりにも無垢で、厭らしい体とは真逆の認識を持っていることがよく分かる。
ウィリアムが教えてこなかったのだから性的な知識などルイスには存在しないし、ようやく二次性徴の兆しが出てきたばかりなのだ。
体の変化に付いていけなくても無理はないと、ウィリアムは浮かんだ唾液を飲み込むために喉を動かした。
「僕に触られて嫌な気持ちかな?」
「…に、兄さんに触ってもらうのはいやじゃないです…で、でも…ふ、ぅ…そこは、あんまり…あ、ぁ」
「そうだね、服で隠れる部分は誰にも見せてはいけないし触らせてもいけないと教えてきたからね…ルイスは僕の言うことをよく守ってきてくれたんだね、良い子だ」
「ん…」
「他の誰にも見せてはいけないし触らせてもいけないけど、僕はルイスに触れたいな。僕なら良いだろう?ルイス」
「…は、ぃ…ぁ、あん」
「ルイス」
甘く流し込むようにその耳へ唇を寄せて名前を呼べば、とろんとした顔のルイスがじっとウィリアムを見上げている。
無防備に開いた唇をまずは食べてから、ウィリアムはルイスの体に起きている変化について端的に教えてあげることにした。
何も知らないルイスに新しい知識を与えることはウィリアムにとって何よりの至福である。
ルイスを構成する全ては自分だけであって欲しいと、今も昔もこれからも、ずっとずっとそう思う。
「ルイスの体はね、大人になろうとしている最中なんだよ」
「お、とな…?」
「そう、今は大人になるための繁殖機能が備わる時期なんだ。生物が交尾をするのは知っているだろう?」
「…子孫繁栄のための、行為です」
「正解。人間同士の交尾、つまりセックスはね、この部分を相手の体に挿入して射精することを言うんだ」
「ぁ、あん…っ、ゃ、あまり触ったら…ふ、ぅん、んっ」
「どうしたの?」
「な、なにか、出ちゃいそう…ゃ、あ、あ」
「ここ、見えるかい?ルイス」
「っ…」
下着ごと衣服をずらしてルイスの下半身を露わにすれば、緩くもたげるように勃ちあがっている淡い色の性器がよく見える。
普段よりもランプの灯りを強めに焚いておいて良かったと思いながら、ウィリアムは先端から竿にかけて艶めくように濡れているそれをルイスに見るよう促した。
触れていないのに勃っている自分の体の一部が信じられなくて、ルイスは大きな瞳がこぼれ落ちそうなほど目を見開いている。
何も知らないのに本能的にこれは恥ずかしいことだと認識したのか、その顔は羞恥で真っ赤になっていた。
今にも泣いてしまいそうなほどの戸惑いと混乱が見て取れる。
「ぇ、な…なに、これ…ぁ」
「ルイスくらいの年の子はね、大人になるための準備として体の中で精子が作られ始めるんだ。これはその精子を液体として体の外に出すための反応だよ」
「せい、し…?」
「ルイスの遺伝子が詰まった細胞のことだよ」
「…だ、出さなきゃだめなんですか…?ぼく、その…こわい、です」
「怖くないよ、僕が付いてる」
「にぃさん…」
羞恥に怯えが混ざった表情で自分に縋り付くルイスを、ウィリアムは愛おしげに強く強く抱きしめる。
新しいことも変化していくことも苦手な子だ。
こういう反応は予想していたし、だからこそいきなり夢精なんかしてルイスが動揺しないよう、今ここで精通させてあげる必要がある。
これはウィリアムのエゴだけでなくルイスのためにもなることなのだと、少し汗をかいたルイスの髪の毛を優しく撫でては頬擦りした。
怖がって震えるルイスは自分を守り導いてくれるウィリアムの体温を感じ、知らないうちに荒くなっていた呼吸を落ち着ける。
そうして二人はしばらく抱き合って、ルイスの動揺が少しだけ和らいだ頃を見計らってウィリアムは乱れた髪がかかる額にキスをした。
「精液はね、定期的に出さないと体に良くないようなんだ。出そうと思わなくても無意識に出てしまうものなんだよ」
「そう、なんですか…」
「この状態のままでいるのはルイスもつらいだろう?」
「ふっ、ぁ」
「僕が手伝ってあげるから、出してみようか」
「…ん」
優しく諭すように言うウィリアムの声に小さく頷き、ルイスはそっと瞳を伏せる。
ウィリアムはいつも優しいけれど、あまり見せてはいけない部分を見せて触られているというのはどうにも落ち着かない。
それでも相手がウィリアムだからルイスは拒否なく無抵抗にその体を明け渡していた。
大切な兄が自分に不利益なことをするはずがないという、絶対の信頼と安心ゆえの行動だ。
その期待に応えるべく、ウィリアムはルイスの腕を自分の首に回すよう促してからその唇に噛みついていく。
「んっ、ふっ…む、ぅんっ、ん」
「ルイスっ…は、」
「ぁ、あっ…あぁっ、ゃ、ひぅっ」
先ほどからずっとウィリアムから遊ぶように触れられていたルイスの性器は、勃起したとしてもまだ細く硬さも不十分だ。
初めてはそんなものなのだろうとゾクゾクするような感覚を覚えつつ、先の穴を広げるように指でこじ開けてみればルイスの腰が震えて手の中のそれも大きく跳ねた。
手淫にも満たない手遊びとキスだけで簡単に達してしまうところが初めての精通らしくて可愛らしい。
指にかかった少ない量の白と透明が混ざった液体はとても熱く、これが初めて作られたルイスの精液なのだと思うと心の底から愛おしかった。
「…上手にイけたね、ルイス」
「ふ、ぇ…に、ぃさ…なにか出ちゃった…ごめんなさい、ぅえ…」
「何かじゃないよ、精液だ。気持ち良くなると出てくるものなんだよ」
「き、もちよくなると…?」
「そう。ルイスは気持ち良かったから射精したんだよ」
「…っ…」
気持ち良いというのがどういうものかよく分からなかったけれど、ついさっきの感覚が気持ち良いということなのであればよく理解出来た。
頭が真っ白になるような、それでいて全身に駆け抜けた痺れるようなとてつもない感覚。
まるで自分の体じゃないような強すぎるそれは少しだけ怖かったけれど、ウィリアムが抱きしめていてくれたからどうにか耐えることが出来たようなものだ。
一人では絶対に慣れることはないだろう。
自然と浮かんでいた涙を払うようにウィリアムの首に顔を押し付け、ルイスは初めての快感で戸惑う気持ちと疲れた体を落ち着けようと息をした。
「…これをしないと、精液は出ないんですか?」
「そうだね。寝ているとき無意識に出ることもあるけど、溜まったものが放出されるようなものだから体には良くないだろうね」
「…僕、自信ないです…」
定期的に出さなければならないとして、どういうタイミングで出せば良いのか分からないことも、吐き出すための方法が自分にとってはハードルが高いこともルイスにとっては大きな障害だ。
一人でしなければならないのだとしても自信がない。
ウィリアムになら全てを許せるけれど、排泄以外で性器に触れて、しかも気持ち良くなるために手を動かすことには抵抗がある。
気持ち良かったのは自分ではなくウィリアムに触れてもらったからなのだろうと、ルイスは無意識のうちに確信しているのだ。
ルイスは大人へ近付く体の変化に付いていけないまま悲しげに眉を下げ、ウィリアムの体温を感じながら縋り付いていた。
「大丈夫だよ。ルイスの体は僕がみてあげるから」
「…兄さんが?」
「僕が出してあげるから、ルイスは何もしなくて良いよ」
「でも…」
「僕がルイスを気持ち良くしてあげたいんだ。それとも、ルイスは嫌かな…?」
「ゃ、嫌じゃないです!に、兄さんが良いのであれば…またシてほしい、です」
「良かった」
ルイスが吐き出した精液を指に絡めて弄び、形を無くしたその性器を軽く撫で回す。
ぴくりと肩が跳ねたけれど達したばかりで感じる余裕がないのか、その唇からは先ほどまで聞いていた可愛らしい喘ぎは聞こえてこなかった。
これから徐々に慣らしてあげようと考えつつ、ウィリアムは近くに置いてあるタオルで指を拭ってからルイスの指を自分のそれとで絡めて合わせる。
本当は舐めてしまいたかったけれど、さすがにそれをしてはルイスが卒倒してしまうだろう。
ひとまず次の楽しみに取っておくとして、今は初めてのことで混乱している可愛い弟を愛でるべく顔の至る所に唇を落としていった。
「兄さん、さっき…」
「なぁに?」
「気持ち、良かったです。…ありがとう」
「…っ」
頬を染めて恥ずかしそうに、けれどどこか嬉しそうにはにかむルイスを近くで見て、ウィリアムの胸の中では愛おしさが暴れ出しそうになった。
つい今しがた、ウィリアムの目の前で無垢な少年から欲を知る青年になったばかりの危うい弟は、変わらず無邪気で可愛らしい。
ルイスよりも数年早く大人の階段を登っているウィリアムは体だけならば十分大人に近くなっているし、本当ならこのまま食べてしまいたいのだけれど、それは流石に時期尚早だろう。
傷付けず怖がらせないためにも、今夜はこれで終わりにするべきだ。
己の欲は抑え込むなりルイスが寝付いた後で処理するなりすればいいと、ウィリアムは鉄の理性を持ってしてルイスの体を抱きしめて、もう今夜だけで何度目になるかも分からないキスをした。
触れるだけの淡いそれはルイスのお気に召したらしく、ようやく機嫌良さそうに笑っている。
「…兄さんも、射精するんですか?」
「…そうだよ」
「……兄さんも、気持ち良くなったら精液出る?」
「……うん。ルイスと同じだね」
「じゃあ、僕」
「何だい?」
「…今度、兄さんのお手伝いしたいです。気持ち良くしてあげたい」
「…ありがとう、ルイス」
また今度お願いするよと囁きながら、ウィリアムは瞳を閉じるよう促すためにルイスの瞼へ唇で触れる。
そうしてルイスのものを弄っていた方とは逆の手で彼の手を握り、寄り合うように体を近付け密着した。
けれどこの体勢では不満だったようで、ルイスからは改めて両手で腕を抱きしめられる。
心地良い疲労感を持て余しているであろう弟は兄に縋りながら、ようやく満足してうとうと微睡むように眠りに就いた。
安心しきったように寝入るその顔を見て、ウィリアムは複雑な顔で可愛い可愛いその寝顔を静かに見つめる。
「…自分がどれだけ凄いことを言っているのか、自覚はないんだろうな」
ウィリアムの口から堪えきれずに漏れた言葉は、ルイス含め誰の耳にも届くことなく消えていった。
(っ、に、ぃさ…!ぁ、んんっ)
(ん。今日も上手にイけたね、ルイス)
(っは、はぁ…ぁ…っ)
(痛くないかい?)
(だい、じょうぶ…兄さんの手、気持ちいぃ…すき…)
(…ありがとう、僕もルイスがだいすきだよ。少し慣れてきたかな?)
(…はい。兄さん…)
(ん?)
(もっと、触ってほしい…駄目?)
(…………)
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