その存在、必要不可欠
ルイス不足のウィリアムとモランによるウィルイスのお話。
ルイスはウィリアムがいないと寂しいけどちゃんと待てるのに、ウィリアムはルイスがいないと色々やばいだろうなぁ。
もっと発狂するウィリアム書きたかったけど理性が邪魔をした、ちっ。
「じゃあ行ってくるね、ルイス」
「いってらっしゃい、兄さん」
「なるべく早く帰ってくる。誰が来ても決して扉を開けてはいけないよ」
「分かっています、兄様」
「火元には十分気を付けるんだよ。食事の用意は僕達が帰ってきたら一緒に手伝うからね」
「大丈夫ですよ、兄さん」
皺一つないスーツを身に纏ったウィリアムとアルバートは、玄関先で己を見上げる末の弟を見て真摯に言い聞かせる。
聞き分けの悪い弟ではないが物騒な世の中だ、用心するに越したことはない。
英国の中枢たるロンドンに新しく建てたばかりのモリアーティ邸は、貴族が住まうエリアの中でも一般市民が住まう地域近くに存在する。
越してきたばかりの貴族、しかも成人していない人間が伯爵家当主であるモリアーティ家に奇異の視線を向ける者は多くいた。
それは貴族に限らず、噂を聞いた一般市民においても同様だ。
表立って何かをしでかす輩はいないにしろ、まだ周辺住民との関係を築いていない状況で安全を確保出来るのは屋敷の中でしかありえない。
師に鍛えられている身とはいえ、まだ幼いルイスをあらゆる危険から遠ざけたいと考えるのはウィリアムだけでなくアルバートも同様だった。
「ウィリアム兄さん、アルバート兄様。お気を付けて行ってきてくださいね」
正門まで見送るつもりのルイスを押し留め、重厚な扉の前でウィリアムは扉を閉めて外へ出る。
幼い様子で懸命に手を振って見送りの言葉を届けるルイスがとても可愛らしかった。
そうしてルイスが扉の鍵を閉める音を聞いてから、ウィリアムとアルバートは屋敷の前で待たせていた辻馬車へと乗り込んだ。
「…早く帰ってきてほしいな」
屋敷の中で兄を見送ったルイスは浮かべていた笑みをなくして眉を下げたまましょんぼりと呟いた。
広くて綺麗なこの邸宅は、ルイス一人が過ごすにはどこか物悲しい。
それでも気を取り直して二人が帰ってくる前に掃除も夕食の用意も終わらせてしまおうと、ルイスは両頬をぺちんと両手で挟み込んで厚手の絨毯が敷かれている廊下を駆けていった。
まだ庭に出ることすら許されていないルイスは洗濯を諦め、予備のシーツでそれぞれのベッドメイキングを終える。
各部屋の掃き掃除を終えてからジャムを塗ったパンとトマトスープで簡易的な昼食を済ませ、さぁ午後は拭き掃除だと頑張ろうとしていたところ、玄関先から鍵の開けられる音がした。
ふと時計を見ればまだ太陽も高い時間帯で、兄の帰宅は夕方頃になると聞いていたのだから随分と早い時間だ。
しかし新築たるこの屋敷の鍵が開けられるのは兄以外にいないと、ルイスは期待に頬を染めて手にしていた布巾を捨てて玄関まで駆け寄っていった。
「兄さん、兄様、おかえり…なさい…?」
「よぉルイスか。今帰ったぜ」
急いで向かった先にいたのは大柄で体格の良い男、先日から居候として同居しているセバスチャン・モランだった。
彼は新しく越してきたこのロンドンの街並みについて調べるという名目のもと、しばらく屋敷を開けていたのだ。
ようやく目処が付いたのだろう、彼は表情の読めない楽しげな笑みを浮かべながら己の帰宅を知らせていた。
「モランさんでしたか…お帰りなさい。情勢は把握出来ましたか?」
「大方な。昔お前らが住んでいた頃と大差ねぇだろうが、それでも良くねぇ噂は蔓延ってるぜ」
「そうですか。お疲れ様でした…」
「あん?どうしたんだよ、ルイス」
「……」
世話になっていたロックウェル伯爵家から出て家族だけの暮らしを始めたウィリアム達だが、以前住んでいた頃とは状況が変わっている可能性も否めない。
その調査のためにモランを頼っていたのだが、要領が良く頭の回転も優れているモランなのだから、必要な情報など二日もあれば粗方調べ終えてしまった。
残りの時間は気ままに遊んでいたのだが、ルイスはそれに気付かず素直に労いの言葉を口にする。
けれどその表情は冴えず、むしろ落ち込んだように暗い影を落としていた。
別に懐かれているわけでもないのだからモランを見て喜ぶルイスの方がよほど心配になるが、それでも自分の半分ほどしかない子どもが落ち込んでいる姿は気にかかる。
モランは俯いたその頭を乱暴に撫でてはルイスの口が開くのを辛抱強く待った。
「…兄さんと兄様がまだ帰ってきていなくて」
「二人だけでどこか行ってんのか?」
「今日はこの地域に住まう貴族達の会合があると、朝から出かけているんです」
「あぁ、アルバートの爵位継承についての報告か。まだ学生の身の上で社交界での報告は早いからな」
「…はい」
「で、お前は連れていってもらえなかったと」
「……はい」
それもそうかと、モランは今この場にはいないルイスの兄を思い浮かべる。
忠誠を誓ったウィリアム、年齢の割に達観しているアルバート、ともに弟のルイスに対してだけは過敏なほどに過保護だ。
短く濃い付き合いをしてきたという自負がある分、二人がルイスにかける熱意はひしひしと感じている。
若く美しいアルバートが爵位を継ぐという現況を面白くないと考える人間は一定数存在するし、むしろ丸め込めるだろう今のうちに伯爵家に取り入ろうとする人間も必ずいる。
聡明な彼はそんな裏のあるやりとりなど間違いなく一蹴し、何なら手玉に取ることすら予想出来る。
大方、ウィリアムはアルバートの手の回らない部分をサポートするために同伴したのだろう。
嫉妬と羨望、ずる賢い打算と腹黒い思想が入り混じる醜い人間のいる場に、ウィリアムとアルバートが特別大切にしているルイスを連れて行くはずもない。
簡単な方程式だとモランは解釈したが、ルイスはそう捉えなかったらしい。
どうせ本当の理由など知らされず、一人留守を守るよう言い渡されたのだろう。
「すぐ帰ってくんだろ。そんな顔すんなよ」
「…ん…」
たかが数時間離れるだけだというのに随分寂しそうにしているルイスは確かに庇護欲をそそられる。
生憎とモランにはあの二人がルイスを溺愛する気持ちは到底理解出来ないのだけれど、それでも小さい子どもが一人耐えている姿を無碍に出来るような人間でもない。
着ていたコートの裾を小さな手で握りしめられ、見た目だけなら可愛いこともないなとそんなことを思う。
実際は見た目に反して負けん気の強い生意気な奴なのだが、新しい場所で一人きりであることに慣れない姿は年齢に見合っていたいけだ。
過保護に守られてきたルイスはウィリアムとアルバートがいないと調子が狂うのだと、モランはそう認識していた。
「…ウィリアム、どうしたんだお前」
「あぁ、モランか…おはよう、嫌な朝だね」
「お、おう」
まず生活の基盤を作ることを優先したウィリアム達が、計画した作戦をすぐ実行に移すことはしない。
長い時間を掛けて情勢を踏まえながら適宜修正していき、計画が最も効力を発揮するであろう然るべきタイミングまでひたすらに待つ。
ウィリアム達モリアーティ家の三兄弟はしかと学びを深めるために学生として生きることを決め、その間のモランは特にするべきこともなく、居候兼年齢的な意味での保護者としてモリアーティ家に居座っていた。
時折街に出ては貴族の子どもだけでは手に入れられないアンダーな情報を得てくることもある。
だが大半は体を鍛えたり遊び歩いたり、稼ぎがてらかつての同胞を助けるため身に付けた能力を遺憾なく発揮しながらの気ままな日々を過ごしていた。
そんなモランが今日見たのは、リビングのソファでだらけ切ったように横になっているウィリアムだ。
胸元には開いた本が乗せられており、読書の途中であることがかろうじて分かった。
けれど読んでいる様子はどこにも見受けられなかった。
「嫌な朝、か…?」
「嫌な朝だよ。ルイスがいないんだから」
ふと窓の外を見れば明るい日差しが部屋の中に入ってきており、過ごしやすい気温と合わせて良い日和だと思う。
そう評価して疑問を口にしたモランだったが、ウィリアムはそれを即座に却下してはその理由を口にしていく。
覇気のない緋色からはあからさまにやる気のなさが感じられた。
「ルイスはどこにいるんだ?」
「アルバート兄さんと入学試験の手続きに出かけているよ。次の秋にはルイスもイートン校に入学してもらわないといけないからね」
「なるほどな。ウィリアムは付いていかなかったのか、珍しいじゃねぇか」
「…そのはずだったんだけどね。呼んだ辻馬車が生憎二人乗りで、僕は留守番になってしまったんだよ」
珍しく、というよりもほとんど初めて、モランはウィリアムが不貞腐れたように表情を変える姿を見た。
モランが知るウィリアムはいつだって余裕めいて微笑んでおり、心の奥底を見せないミステリアスな迫力を携えた人間だった。
その迫力に見合う頭脳と胆力を持ち合わせていたため、幼い年齢だろうと関係なく彼に付き従いこの国を変えるべく忠誠を誓ったのだ。
だがよくよく考えてみれば、そのウィリアムの隣にはいつも小柄で大人しいルイスがいた。
ルイスを庇い守るように佇むウィリアムは、支配者でありながら兄としての包容力といきすぎた独占欲を持っていたように思う。
それがウィリアムとしての個性だと知ってはいたのだが、同時に揺るぎなく間違いない事実だったのだと、モランはこの瞬間にようやく理解した。
「はぁ…ルイスがいない時間はどうしてこうも虚無なんだろうね」
「そ、そうか」
「この世の全てを呪いたくなってくる」
「お、おう」
緋色の瞳が真剣味を帯びていて妙にリアリティがある。
当然だろう、ウィリアムは本心からの言葉を口にしているだけなのだから。
実行する気はないけれど、頭では理解していても心が受け入れきれないのだというオーラがひしひしと感じられる。
「ウィリアムは弟に対して過保護」というだけではあまりに表現が浅かったのだと、モランは今のウィリアムを見て実感していた。
二人用の辻馬車を寄越した御者を恨むのではなく世界を恨むという規模の大きさに、どれだけウィリアムがルイスを寵愛しているのかが窺い知れる。
天井を見つめているはずの瞳には何も映っておらず、おそらくはこの場にいないルイスを思い浮かべているのだろう。
「そんなに気になるんならアルバートじゃなくお前が付いていけば良かったじゃねぇか」
「モリアーティ家の当主はアルバート兄さんだ。僕が出しゃばったような真似をするわけにはいかないし、周りも怪しく思うだろう?」
「それはそうだが…」
「ルイスも寂しがっていたんだから、僕がそんな様子を見せるわけにもいかないしね」
「そうか」
寂しがっているにしては迫力があるなと、そう感じたことをモランはひた隠しにして同意を返す。
ウィリアムと出かけられずに寂しがるルイスは容易に想像出来る。
済ましたような顔をしているくせに、あの子どもは兄のことになると途端に分かりやすくなるのだ。
過去、安全のために何度も一人留守番をさせられていたルイスを見てきたのだから間違いなどないが、よくよく振り返れば、ウィリアムが一人置いていかれる場面に遭遇したのは初めてかもしれない。
強がったように兄としての体面を保ちつつ、影では言い知れない虚無感を携えた兄がいることをルイスが知ったらどう思うだろうか。
いっそ喜ぶような気もするが、ウィリアムもルイスの前では格好付けたいようなので結局見ることは叶わないのだろう。
「ルイスがいないと読書も進まないし、全くもって不毛な時間を過ごしていると思うよ」
「本読むのにルイスがいるのか?」
「僕はルイスがそばにいるという状況だから集中出来るんだよ、モラン」
「…そうだったのか」
「アルバート兄さんがいるんだからルイスに身の危険はないと信じているけど、それはそれとしてもつまらないことには変わりないよね」
ぐでーんと全身の力を抜いてソファに寝そべるウィリアムには威厳も何もあったものではない。
胸の上に乗せていた本が床に落ちてもチラリと横目にするだけで拾おうともしないのだ。
どれだけやる気がないのか明白であり、どれだけルイスがウィリアムの士気に関わるのかも明白だった。
たかが一日ルイスがそばにいないだけでこの有様なのだから、今後色々と大丈夫なのだろうか。
計画の要になるのはウィリアムの頭脳だと認識していたが、その頭脳が発揮されるためにはルイスという必要不可欠な条件があるらしい。
条件をクリアすることは難しくないが、今日のようにともにいられない日が続いてしまったら一体どうなるのだろう。
「ウィリアム、お前わざわざ週末ごとに帰ってきてるのはまさか」
「ルイスが足りなくて帰ってきていたんだよ」
「…そうか、なるほどな」
卒業を間近に控えているアルバートが頻繁に帰宅しているのはともかく、まだ初期生であるはずのウィリアムをこの屋敷で頻繁に見かける謎が意図せず解決してしまった。
今はせっかくの短期休暇中だというのにルイスとともに過ごせないため、ウィリアムは分かりやすく気落ちしているのだ。
明晰な頭脳に信頼に足りる精神力、圧倒的なカリスマ性。
それらを持ち得た人間であるウィリアムは、たった一人の弟の不在でいとも簡単に調子を崩してしまうらしい。
「まぁそのうち帰ってくんだろ。たまにはゆっくり過ごすのもいいんじゃねぇか」
「そうだね…うん、モランの言う通りだ」
「飯食って寝て起きたらあいつらも帰ってくんだろ。ほら、ルイスが昼食の用意してんだろ、さっさと食え」
「いらない。もう寝るよ、おやすみモラン」
「は?おい、ウィリアム」
モランは起きてきた時間は遅かったためにもう昼近く、おそらく食堂にはルイスが用意していたモランの朝食と昼食、そしてウィリアムの昼食が用意されているはずだ。
食事を提案してもウィリアムは拒否をして、近くにあったブランケットを腹にかけてそのままソファで眠ろうと目を閉じてしまった。
ベッドまで運んでやるのは簡単だが、食事を食べないというのは良くないだろう。
ルイスが悲しむぞと伝えても「いらない」と返されてしまう以上、モランにはどうすることも出来なかった。
仕方なくウィリアムを放置して食事を取りにリビングを出ていき、そのままシャワーを浴びたり銃の手入れをしたりして時間を過ごす。
ふと時計を見れば夕方近い時間で、イートン校まで出ている二人が帰ってくるにはまだ早いがぼちぼち良い頃合いだろう。
そう考えたモランがウィリアムの様子を見に行くと、そこには数時間前に見た姿と全く同じ様子で虚無を映した瞳を見せている子どもがいた。
夕焼け色に染まった室内以上に美しい緋色はいっそ不気味で怖かった。
「…ウィリアム?」
「モランかい?ルイスは帰ってきたかな?」
「いやまだだが…」
「そう」
声を掛ければのそりと起き上がって笑っていない瞳で微笑むのだから、端正な容姿と相まって生気を感じさせない人形のようだ。
赤い室内に居座る緋い瞳の子ども。
真夜中に見る老婆よりもよほど恐怖の対象になる。
「寝てたんじゃなかったのか?」
「少しも眠くなくてね、ずっと起きていたよ」
「腹は空いてないのか?まだお前の分の昼食は残ってるが」
「お腹も空かないんだ」
「…そうか」
ずっと起きていたのに数時間前と寸分違わない姿勢でじっと虚空を見つめていたのかと思うと恐ろしい。
この屋敷において、ウィリアムはいつでもどこでも寝落ちているはずなのに眠気がないとはおかしなことだ。
日頃の睡眠不足をこういうときに補えばいいものを、そんなことではいざ戦場に出たときに困ってしまうだろう。
ウィリアムが己の部隊に属する軍人ならば叱りつけているところだが、生憎と彼は頭脳をメインに戦う愛国者だ。
軍人でもなければ戦場に出ることもない。
モランはひとまず口から出かかった忠告を飲み込み、瞳孔が開いているように見えるウィリアムに視線をやった。
昼間なのだから眠くならないのはともかく、腹が空かないというのは問題ではないだろうか。
調子でも悪いのかと聞きたくなったが、今の彼は確かに調子が悪いことを思い出す。
なにせ最愛の弟がそばにいないのだから。
「…まさかお前、ルイスがいないから腹が空かねぇとかそういうことか?」
「どうだろうね?本当にお腹が空いていないんだ。ルイスの影響かは分からないけれど」
少なくともルイスは一人留守番をしているときでも最低限の食事は食べていた。
しかしウィリアムはルイスがいないのであれば食事すらも欲していない。
ウィリアムは己がルイスと同じように寂しく思っていると表現していたが、これはそんな生易しいものではないはずだ。
ルイスよりもよほど重症で、もはや手に負えない気配がひしひしと感じられる。
もう手遅れなのだと、モランは今この状況で悟ってしまった。
「…!ルイスが帰ってきた!」
微かに玄関の鍵が開けられた音がする。
モランが顔を上げるよりも先にウィリアムがソファから飛び降りて駆け寄っていき、勢いよく玄関先へと走っていった。
元軍人をも凌ぐ聴覚と反射神経に恐れ入るが、おそらくこれはルイスに関することのみで発揮されるウィリアムの能力だ。
モランは劣等感を覚えるよりも先に思わず脱力してしまった。
きっと今後の計画の要になるのはウィリアムではなくルイスである。
たった半日離れていただけでこれなのだ。
ルイスがいなければウィリアムは本領を発揮出来ないどころか、己の生命活動すら危うくなる。
ウィリアムはルイスがいなければ眠れず、ルイスがいなければ食事すらも摂れず、ルイスがいなければやる気が出ないどころか情緒さえも安定しない。
モランがそのことに気付いた瞬間、思わず背筋に冷や汗が流れた。
ルイスに万一のことがあった場合、ウィリアムはこの英国そのものを潰すくらいのことはするだろう。
おそらくはアルバートもウィリアムに加勢し、想像すら拒否したくなるほどえげつない方法で国を憂えては潰していく。
目指す目的を違えて道半ばで死に絶えるなど絶対にごめんだ。
ならば、国を良い方向に導くという目的を達成するためにはルイスの安全を確保するのが正しい近道なのだろう。
ウィリアムとアルバートが大袈裟なくらいにルイスを囲っているし、ルイス自身もジャックに鍛えられていて十分過ぎるほどに強い。
それでも万一のときには自分がフォローすべきだと、モランは兄に溺愛されている生意気な子どもを己の庇護対象に置くことを決意した。
(おかえり、ルイス、アルバート兄さん)
(兄さん、ただいま帰りました!)
(ただいま、ウィリアム。変わりなかったかい?)
(えぇ、何も問題はありませんでしたよ。少し読書に熱中しすぎて昼食を摂るのを忘れてしまいましたが)
(兄さん!ちゃんとご飯は食べてくださいといつも言っているのに!)
(ごめんね、ルイス。君が作った昼食は夜にちゃんと食べるから)
(いえ、これから夕食を作るのでそちらを食べてください。冷めてしまったご飯は美味しくないでしょう)
(ルイスが作ったものなら冷めても美味しいよ、大丈夫)
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